任意後見契約とは、本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約です。
この契約は、公証人の作成した公正証書による必要があり、契約締結後公証人からの嘱託により法務局に登記されます。このような契約を結んでおけば、本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督の下に本人を代理して契約などをすることによって、本人の意思に従った適切な保護・支援をすることが可能になります。
なお、上記各種任意後見契約の締結の際に、死後の事務の委任契約を併せて締結することができます。
なお、本人(委任者)が公証役場に出向くのが困難な場合は、公証人がご自宅・病院・介護施設等どこにでも出張いたします。この場合、基本手数料の50%が病床加算として加算され、日当(1万円)及び交通費(実費)が必要です。
A.本人(委任者)と受任者との合意により、事務の内容を、自由に決めることができます。
一般的には
■財産の管理
■金融機関(銀行・郵便局)との取引
■保険会社との契約等に関する事項
■定期的な収入の受領・定期的な支出を要する費用の支払
■介護契約、その他の福祉サービスの利用契約に関すること
■福祉関係施設への入退所
■病院への入退院手続の処理
などです。
A.法律で受任者として不適格と定められていない限り、成人であれば誰でもなれます。本人の配偶者・子・兄弟姉妹・甥姪等の親族の方に頼むのが一般的ですが、友人・知人、弁護士・司法書士・行政書士等の専門家、その他の第三者(法人でも可)に委任することもできます。
A. 身内の方が任意後見人となる場合は無報酬のことが多く、弁護士・司法書士等の専門家に任意後見人を委任する場合には、本人(委任者)が有する財産や管理事務の内容等に応じて相当な報酬を毎月一定額支払うのが一般的です。
A.任意後見契約は、本人の判断能力が衰えた場合に備えて、あらかじめ結ばれるものですから、任意後見人の仕事は、本人がそういう状態になってから始めることになります。
具体的には、任意後見人になることを引き受けた人(任意後見受任者)や親族等が、本人の同意を得て、家庭裁判所に対し、本人の判断能力が衰え、任意後見事務を開始する必要が生じたので、任意後見監督人を選任してほしい旨の申立てをします。そして、家庭裁判所が、任意後見人を監督すべき任意後見監督人を選任しますと、そのときから、任意後見受任者は、任意後見人としての仕事を開始します。
A.任意後見契約を解除することができますが、解除する時期により、次のとおり、その要件が異なります。
公証人の認証を受けた書面によりいつでも解除できます。合意解除の場合には、合意解約書に認証を受ければすぐに解除の効力が発生しますが、当事者の一方からの解除の場合には、解除の意思表示のなされた書面に認証を受け、これを相手方に送付してその旨を通告することが必要です。
任意後見監督人が選任された後は、正当な理由があるときに限り、家庭裁判所の許可を受けて、解除することができます。
A. 軽度の認知症の状況でも判断能力があれば上記即効型の任意後見契約を締結できますが、認知症がある程度進行し、判断能力がない場合あるいは不十分な場合には、任意後見契約を締結できません。この場合には、家庭裁判所に申請して援助者(本人の判断能力に応じて「成年後見人」「保佐人」「補助人」が選任されます)を選任してもらい、援助者に本人のために活動してもらう「法定後見制度」というのがあります。詳しくは、お近くの家庭裁判所でご確認ください。
A. 任意後見契約の締結の際に自分の死後の事務も委任することができます。ただし、任意後見契約は、将来、判断能力が不十分になった場合に備えた生前の事務の委任ですので、自分の死後の事務の委任契約と任意後見契約とは別個の委任契約となります。そのため、死後の事務の委任契約については、任意後見契約とは別途の手数料がかかります。
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